📖 蔵書008|なぜ健康食品には厳しい広告規制があるのか

薬機法の歴史と、販売する側の責任

健康食品の広告を見ていると、次のような表現を目にすることがあります。

「これを飲めば治る」
「薬をやめられた」
「病院に行かなくても大丈夫」
「どんな病気にも効果がある」

健康に不安を抱えているときほど、こうした強い言葉は魅力的に感じられるものです。

しかし、健康食品は医薬品ではありません。病気の治療や予防を目的として国から承認されたものではないため、医薬品のような効能・効果をうたって販売することは認められていません。

現在の広告規制が厳しい背景には、食品でありながら医薬品のように宣伝された商品や、根拠の乏しい広告、健康被害などが長年にわたって問題となってきた歴史があります。

今回は、薬機法を中心とした健康食品の規制が、なぜ必要とされてきたのかを考えます。


「薬機法」とは

薬機法とは、正式には「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」といいます。

かつては「薬事法」と呼ばれていましたが、2014年の法改正に伴い、現在の名称になりました。

薬機法は主に、次のようなものを対象としています。

  • 医薬品
  • 医薬部外品
  • 化粧品
  • 医療機器
  • 再生医療等製品

一般的な健康食品は、法律上はあくまで「食品」です。そのため、健康食品そのものがすべて薬機法によって直接規制されている、という説明は正確ではありません。

ただし、食品であっても、広告や商品説明で医薬品のような効能・効果を標榜すると、無承認無許可医薬品として薬機法上の問題となる可能性があります。

つまり重要なのは、商品が食品であるかどうかだけではありません。

どのような成分を使用し、どのような形で、何を目的として販売し、消費者にどのような印象を与える説明をしているかも判断材料になります。


食品の名を借りた「医薬品」が問題になった時代

1960年に現在の薬機法の前身となる薬事法が制定されました。

その後、健康への関心が高まるにつれて、さまざまな食品や民間健康法が販売されるようになります。その中には、食品として販売しながら、病気が治る、特定の症状に効く、一定量を飲めば効果が得られるなど、実質的に医薬品のような説明をする商品もありました。

こうした状況を受け、1971年には厚生省から「無承認無許可医薬品の指導取締りについて」という通知が出されました。

この通知では、食品の名目で販売されていても、その成分、形状、効能・効果の表現、用法・用量などから医薬品と判断されるものについて、監視・指導を行う考え方が示されています。

通知が問題として挙げたのは、単なる言葉遣いではありません。

誇大な説明を信じた人が適切な医療を受ける機会を失い、病状を悪化させる危険や、品質や安全性が確認されていない商品が流通する危険です。

広告規制の根底にあるのは、言葉を取り締まることではなく、消費者の生命と健康を守ることなのです。


なぜ規制は厳しくなってきたのか

現在の規制が厳しくなった理由を、単純に「昔の健康食品業界が好き勝手な広告をした罰」と表現するのは適切ではありません。

一方で、健康食品の市場が拡大する過程で、次のような問題が繰り返されてきたことも事実です。

  • 病気が治るかのような広告
  • 万人に同じ効果があるような表現
  • 体験談だけを根拠にした販売
  • 医薬品成分を含む商品の流通
  • 不安をあおって購入を促す販売方法
  • 科学的根拠を超えた説明
  • 医療よりも健康食品を優先させるような勧誘
  • インターネットやSNSを利用した誇大広告

そのたびに、監視や制度の見直しが進められてきました。

法律は突然厳しくなったのではありません。消費者の誤認や健康被害を防ぐために、過去の問題を積み重ねながら整備されてきたものと考える必要があります。


健康食品に関係するのは薬機法だけではない

健康食品の販売や広告に関係する法律は、薬機法だけではありません。

景品表示法

実際よりも著しく優れた商品であるかのように見せる「優良誤認表示」や、価格・割引などの取引条件を著しく有利に見せる「有利誤認表示」などを規制します。

健康食品についても、表示の裏付けとなる合理的な根拠を求められる場合があります。

健康増進法

食品について、健康の保持・増進効果などを著しく事実と異なる内容で表示したり、著しく誤認させたりすることを禁止しています。

食品表示法

原材料、栄養成分、アレルゲン、期限表示など、消費者が食品を安全に選ぶために必要な表示を定めています。

したがって、販売者が「薬機法に触れなければ問題ない」と考えるだけでは不十分です。

商品の安全性、表示の正確さ、広告の根拠、価格表示などを含めて、複数の法律に配慮する必要があります。


「お客様の声」なら何を書いてもよいわけではない

健康食品では、購入者から体験談や感想をいただくことがあります。

実際に寄せられた言葉であっても、販売者が広告として掲載する以上、法規制の対象になり得ます。

例えば、次のような内容です。

  • 病名や症状が改善した
  • 医師から治ったと言われた
  • 薬が不要になった
  • 検査数値が正常になった
  • この商品のおかげで回復した

「個人の感想です」と付け加えれば、どのような内容でも掲載できるわけではありません。

体験談は事実であることに加え、広告全体として消費者にどのような印象を与えるかを考えなければなりません。


機能性表示食品も「国が効果を保証した食品」ではない

健康食品の中には、一定の条件に基づいて機能を表示できるものがあります。

現在の保健機能食品には、主に次の区分があります。

  • 特定保健用食品
  • 栄養機能食品
  • 機能性表示食品

特に注意したいのが、機能性表示食品です。

機能性表示食品は、安全性や機能性に関する資料を事業者の責任で消費者庁へ届け出る制度です。特定保健用食品とは異なり、国が一つひとつの製品について審査し、効果を保証する制度ではありません。

また、機能性表示食品であっても、届け出た範囲を超えて自由に効果を宣伝できるわけではありません。

2024年に発生した紅麹関連製品の健康被害を受け、健康被害情報の報告や製造管理を含め、制度の信頼性を高めるための見直しも進められました。

制度があることだけで安心するのではなく、表示内容、摂取上の注意、事業者の姿勢まで確認することが大切です。


強い言葉を使わない販売店は、頼りなく見えるかもしれない

「効果があるとはっきり書いてほしい」
「どの病気に良いのか教えてほしい」
「もっと売れる表現を使えばよいのではないか」

健康食品を販売していると、このように思われることがあります。

確かに、「治る」「効く」「必ず変わる」と断言するほうが、商品は魅力的に見えるかもしれません。

しかし、その言葉によって適切な医療が遅れたり、過度な期待を抱かせたりしてしまえば、販売者としての責任を果たしたことにはなりません。

法律を守ることは、商品の魅力を隠すことではありません。

伝えてよいことと、伝えてはいけないことの境界を理解したうえで、確認できる事実を丁寧に伝えることです。


CLAILEが大切にしていること

CLAILEは、健康食品業界に携わる者として、薬機法をはじめとする関係法令を遵守します。

商品の特徴や製造背景、原材料、品質管理、これまで積み重ねられてきた販売実績など、確認できる情報は丁寧にお伝えします。

一方で、健康食品に医薬品のような効能・効果があると断定したり、病気が治ると期待させたりする販売は行いません。

体験には個人差があります。ある方の経験が、そのまますべての方に当てはまるわけでもありません。

また、強い症状、急な体調変化、長く続く不調がある場合には、健康食品だけで対応しようとせず、医療機関への相談を優先していただきたいと考えています。

法律を守ることは、販売者を守るためだけではありません。

お客様の健康と選ぶ権利を守り、健康食品業界への信頼を未来へつないでいくために必要なことです。


厳しい規制は、健康食品を否定するためのものではない

健康食品は、医薬品の代わりではありません。

しかし、食生活を見直したいときや、毎日の健康管理を意識するときに、本人が内容を理解し、納得したうえで取り入れる選択肢の一つにはなります。

だからこそ、販売する側には誠実さが求められます。

強い言葉で期待をあおるのではなく、分かっていることと分かっていないことを区別する。
良い面だけでなく、注意点も伝える。
必要なときには医療機関への相談を勧める。
購入を急がせず、本人の意思を尊重する。

こうした積み重ねが、健康食品と安心して付き合える環境をつくっていくのだと思います。


まとめ

  • 一般的な健康食品は、法律上は医薬品ではなく食品です。
  • 食品であっても、医薬品のような効能・効果を標榜すると薬機法上の問題となる可能性があります。
  • 現在の規制は、誇大広告、無承認医薬品、健康被害などの問題を背景に整備されてきました。
  • 健康食品の広告には、薬機法だけでなく景品表示法、健康増進法、食品表示法なども関係します。
  • 実際の体験談でも、販売広告として自由に掲載できるわけではありません。
  • 法律を守ることは、消費者の健康と自主的な選択を守ることにつながります。
  • CLAILEは、確認できる事実を丁寧に伝え、医薬品のような効能・効果を断定しない販売を続けます。

🌳 年輪より

健康食品を長く販売していると、強い言葉のほうが人の目を引きやすいことを感じます。

しかし、目の前の販売だけを考えて、実際以上の期待を持たせることはできません。

「言えないから書かない」のではなく、
「お客様の健康と判断を守るために、言うべきではないことを理解している」。

それが、健康食品を扱う者に必要な姿勢だとCLAILEは考えています。

この一冊は、お客様との出会いを通して積み重ねてきた知識と経験をもとにまとめました。これからもCLAILEは、知識という年輪を一冊ずつ積み重ね、未来へ残してまいります。

主な公的参考資料

※法令や制度は改正されることがあります。本稿は2026年8月時点の公的資料をもとに、一般向けに整理したものです。個別の広告表現や表示の適法性については、管轄行政機関または専門家への確認が必要です。

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